2016.01.29更新

Q 自己破産すべきかどうか悩んでいるのですが、破産することのメリット・デメリットはどのようなことがあるのでしょうか。

A 破産することのメリットは、免責を得ることによって、過去の負債の支払い義務がなくなることです。
過去の負債の支払い義務がなくなることに対応して、一定のデメリットはあります。最大のデメリットは、不動産などの高価な資産を売却しなければならなくなることです(日常生活に必要な家具などは一定の範囲で差押禁止財産になりますので、売却する必要はなくなります)。また、信用情報機関に破産ということで登録されるため、一定の期間は新たな借入はできなくなります。
法律上の制限としては、お金を扱う職業(弁護士や会計士など)は欠格事由となります(免責によって、当然に復権するので、復権後は、そのような仕事に復帰することは可能です)。会社の取締役の場合には、破産は委任契約の終了原因であるため、いったん、取締役を辞めなければなりません(その後、株主総会決議によって再度取締役に選任されることは可能です)。再度の破産申立をして免責を得るためには、原則として免責決定が確定して7年間が経過していることが必要となります。
その他、官報という国の広報誌に破産した事実が掲載されます。市町村の破産者名簿への掲載は、新破産法の施行(平成17年1月1日)後は、裁判所から市町村への通知は、免責が不許可の場合など一定の場合に限られているので、免責を得られた場合には、破産者名簿にも掲載されることはなくなりました。

弁護士吉野隆二郎