2015.12.10更新

自筆による遺言書において、文章自体は内容が分かる状態で、その文面全体の左上から右下にかけて赤色のボールペンで1本の斜線が引かれていたという事案において、最高裁判所は、「本件遺言書に故意に本件斜線を引く行為は、民法1024条前段所定の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当するというべきであり、これによりAは本件遺言を撤回したものとみなされることになる。したがって、本件遺言は、効力を有しない」と判断しました。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85488
遺言書は作成者が亡くなった後にその効力が争われるものですから、その効力については、できるだけ形式面で判断するということになるのでしょう。
遺言書を作成する場合には、公正証書遺言などで形式をしっかり整えておくことが重要だと再認識させられる判例です。

弁護士吉野隆二郎